こんばんは。ネット心理教育の布団ちゃんです。
今回は第5回~その2~ということで、混合性エピソードについてお話しました。
混合性エピソードは、分かりにくいとよくいわれますね。ご自身が混合性エピソードを体験したことがあるかどうかが分からないという方も多くいるのではないでしょうか。
混合性エピソードとは、定義からすると、抑うつ症状と躁/軽躁症状が同時に起こることをいいます。
この際のポイントは、どちらかのエピソードを満たすことです。
抑うつエピソードか、躁/軽躁エピソードのどちらかのエピソードを満たし、どちらか反対の症状も2つ以上満たすことを指します。
国際的な診断基準であるDSMの最新版の第5版において、混合性エピソードの症状の定義が緩和されました。
それまでは、抑うつ症状の診断基準を全部満たし、躁/軽躁エピソードの診断基準も全部満たすことが「混合性エピソード」の条件でした。
これはかなり厳しい条件で、両方の診断基準を全部満たすケースはかなり稀でした。
では、混合状態には日数の定義はあるのでしょうか。
抑うつエピソードは「2週間以上」続くことですとか、躁エピソードは「7日以上」、軽躁エピソードは「4〜6日」などと日数の定義がありますよね。
しかし混合性エピソードにおいては「何日以上」という日数の定義はありません。
混合性エピソードでは、抑うつエピソードか躁/軽躁エピソードのどちらかのエピソードを満たすことが条件ですので、一番短くて軽躁エピソードを満たす4日以上ということになります。
混合性エピソードは、うつエピソードから発展することが多くあり、そうするとうつエピソードの日数の定義である2週間以上経った時、混合性エピソードに変わるというのが現実として多いでしょう。
つまり「何日以上で混合性エピソード」と決まっているのではなく、「どちらかのエピソードを満たす」という部分に掛かってくるということですね。
混合性エピソードという状態は、クレペリンという精神科医が提唱した概念です。(1913年)
クレペリンは、心の動きを「思考・気分・意思」に分けて考えました。
そして、その3つそれぞれ高い状態を「躁状態」とし、3つそれぞれ低い状態を「うつ状態」としました。
更に、それらの3つが高かったり、低かったり入り混じった状態を「混合状態」と考えました。
前回の抑うつエピソードで、9項目のうつの診断基準をご紹介しました。
このとき使用した表では、診断基準をクレペリンの考えた「思考・気分・意思」に分類し、今回の混合性エピソードの説明につなげています。
「思考・気分・意思」の上がり・下がりを組み合わせると、混合状態は全部で6パターンになります。
これはあくまでもクレペリンが考えた混合状態の概念であって、実際に混合状態の患者さんをこのように分類するのは難しいかもしれません。
つまり、ここで分かって頂きたい点としては、混合性エピソードで入り混じった状態は様々なパターンがあるということです。
混合性エピソードの注意点としては、以下の点を挙げました。
混合性エピソードは、思考、気分、意思がばらばらで、非常に苦しい状態です。
気分は落ち込んでいても動けてしまったり、動けなくても不安や焦りだけが強まってしまいます。
焦燥感とイライラ感が強く不安定で、衝動性も高いです。
そのため自殺のリスクも高くなり、この点に関しては非常に注意が必要です。
次に、双極Ⅱ型障害では、軽躁状態よりも混合状態の方が病相における比率は高く(約2倍)、Ⅱ型では混合性エピソードの存在を注意したほうがよいと言えます。
また、混合性エピソードを引き起こすリスクの一つとして、抗うつ薬の存在があります。
うつ病と診断されていて抗うつ薬を処方されたとき、その患者が双極症だった場合、躁転を引き起こすリスクだけでなく、うつから混合性を引き起こするリスクもあります。
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【最後に】
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のネット心理教育@Zoomはいかがでしたでしょうか?
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・次回のZoomは、2020年6月13日(土)の14時から「混合エピソード」です。
【ご案内】2021年1月22日更新
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