こんにちは。ネット心理教育の布団ちゃんです。
まずは代替医療(代替療法)についてです。ちょっと耳慣れない言葉かもしれませんので、解説していきます。
代替医療とは、一般的な病院で受ける医療ではないもので「治る」「病気に効果がある」「良くなる」などいっているものです。
例えば、サプリなどの栄養素で病気を治す、モチベーションを高める自己啓発で病気を治す、砂糖を薄めた水を飲むことで病気を治すなど様々な代替医療があります。
代替医療には科学的な根拠がなく、真偽が疑わしいです。
場合によっては高額な料金が掛かってしまいますので、注意が必要です。
また代替医療の実施者は多くの場合、無資格であり、精神疾患の専門家でないため、標準的な医療を否定することがあります。
しかし、栄養素や砂糖水などを飲んでも、健康に被害が出ることはありませんよね。では代替医療そのものが有害でなければいいのでしょうか。
代替医療を続けると、本来の標準的な医療をやめてしまうことがあります。そうすると、来受けられたはずの医療機会を喪失してしまうという有害さがあります。
次に、代替医療などに振り回されず正しい知識・情報を集めるための方法を解説していきます。
明らかに間違っているものを見抜くためには、以下のことに注意してください。
1.断定しているものは信用できない
薬であっても、「(誰でも)絶対に治る」ということはいえませんし、ありません。その人その人によって同じ薬でも違う作用・副作用が出ることもあります。薬の量によってもその差はあります。効果が現れるまでに飲む期間も違ってきます。
製薬会社が莫大なお金と時間を掛けて証明した薬の効果でさえ「全員が絶対に治る」とは言えないのです。「治る」と断言できないことは、科学的根拠に基づいているからこそであるといえます。
2.個人のブログ
個人の「太った」「効いた」などという感想が厄介なのは、恐らく嘘は言っていないという点です。その人には「効いた」としても、それがあなたにも当てはまるかはわかりません。
体質や体調、飲む量や飲む期間にも関係してきますから、これも「絶対に」とはいえません。
3.標準的な医療の否定
双極性障害の治療法は、日本うつ学会が「ガイドライン」というもので推奨する薬などを定めています。
それを否定するものには要注意です。例えば、「双極でも健康になったら気分安定薬はやめましょう!」などということをいわれたら、疑う目をもちましょう。
標準的な医療の内容を確認する方法
4.最先端の医療は最高とは限らない
最先端ということは、最先端であればあるほど、まだ研究が進んでいない分野であるということです。
そして、最先端=誰に対しても効果があるという意味ではないです。
そこに注意して、情報を得ましょう。
信頼できるウェブページは以下です。
・厚労省:みんなのメンタルヘルス
・日本うつ学会:双極性障害とつきあうために(パンフレット)
もう一つ、ちょっと変わった方法として、Twitterで精神科医を10~20人フォローするという方法があります。
世の中は広いので、変わった精神科医などもいるかもしれません。この記事をお読みの方でも、そういう医師をフォローしてしまったら‥と心配されている方も居るかと思います。
しかし、たとえ変な精神科医や偽の「自称精神科医」をフォローしてしまったとしても、他に精神科医をたくさんフォローしておけば、その変な精神科医の主張の異質さが際立って目立つので大丈夫です。例えば「治る!」と断言している自称精神科医がいたとしたら、他の医師との違いから、その異質さに気づけるといった感じです。
こうすることによって、自然と標準的な精神医療の考え方を学ぶことが出来るでしょう。
次に、治療中断してしまうリスクについて解説していきます。
自分の判断や家族からの意見などで薬を飲むのをやめてしまったり、病院に行くのをやめてしまったりすることがあります。
その原因や、やめてしまったらどうなるのかをみていきましょう。
・自分の判断(処方された薬が太ると聞いたので飲まない)
・家族からの意見(そんなに薬を飲んで大丈夫? もう治ったのでは?)
・主治医への不信感(話を聞いてくれない、教えてくれない)
・治療を中断する気はなくても、薬を飲み忘れてしまう
治療を中断するとどんな問題が起こるのでしょうか。
双極性障害の場合、治療を中断すると再発の引き金になります。
双極の波は、繰り返すことによって悪化します。悪化というのは、波が大きくなり、うつでの落ち込みがよりひどいものになったり、躁でのテンションのが上がり方がよりひどいものになったりすることです。また双極性障害では悪化により、気分の波の間隔が短くなることも指摘されています。
ですから、一旦気分の波が良くなったからやめるというのは、とてもリスキーな選択です。
双極性障害の薬の効果に「再発予防効果」があります。
これは、特定の症状をなくすのではなく、症状が起こらない状態をキープする作用のことです。
熱があって解熱剤を飲んだとき、熱が下がったら薬をやめますが、双極性障害では躁やうつの症状がなくなってからもそれを維持するために薬を飲み続けていきます。
熱が下がるなどの目に見える効果は感じられませんので、何に効いているかあまりわからないのが正直なところだと思います。ですが双極性障害では、躁やうつにならないようにしたり、その波を小さくしたりすることも大事なことなので、症状がないと思うときも服薬を続けることは重要です。
このように、自分が持っている漠然とした知識や間違った知識で薬や通院をやめてしまわないようにするためには、「心理教育」が大切になってきます。
また、家族などの周囲からの意見で薬や通院をやめてしまうのを防ぐ意味でも、家族への心理教育は重要です。
心理教育の効果
当事者:正しい知識
家族:一人でも病気に対する理解者を獲得しておく
躁やうつの症状が激しいときには、患者さん本日は、なかなか自分で病気の症状に気づけないです。そんなとき、家族の誰か一人でも病気の理解者がいると、指摘してもらえたりします。
ここで心理教育をおすすめする理由として、双極性障害における薬物療法や心理療法が書かれた「ガイドライン」には、心理教育は、1番推奨する心理療法として載っているという点が挙げられます。
次に、副作用と比べて効果が上回っていることを見極めることが必要です。副作用と効果のバランスは自分で決めるのではなく、主治医や薬剤師に相談してみてください。我慢できない副作用がない状態であることも大事です。
バランスが取れていない場合は別の薬に変える方法が無いかなど、医師に相談してみてください。納得して飲むことが大切です。お薬に関して医師に話しにくいことは、薬剤師に相談してみてください。
副作用が出て飲むのがつらいときには勝手にやめないで、専門家のアドバイスを仰ぎましょう。
では、やめようと思って断薬するのではなく、うっかり飲み忘れて治療中断してしまうことへの対応です。
まずは一包化、つまり一回に飲む薬をすべて一袋に入れてもらうやり方です。一包化を希望する際には、医師に頼みます。
ピルケースで整理する方法もあります。
スマホやアプリで管理するのも手です。アプリストアで「薬」と調べると沢山出てくるので、自分にあったアプリを見つけみてください。
自分なりのルールを決めて管理している方も居ると思います。
ご自身にとってどれがいいかというのを工夫していくことが大切ですね。
自分に合った飲み合わせを防ぐ方法については薬剤師に相談してみてください。
今日の最後の話題は「精神活性物質」についてのリスクです。
精神活性物質とは、脳に作用する物質のことを指します。
活性というと「気持ちや気分を上げる」イメージですがそれだけではなく、気持ちを抑える作用の場合も精神活性物質と言います。
具体的な精神活性物質をみていきましょう。
お酒やカフェインは合法ですが、依存性を生じます。
ブロン(ブロン以外にもかぜ薬なども)は乱用を誘発しやすいです。乱用というのは正しくない使い方をしてしまうことで、沢山服用すること(OD、過量服薬)などを指します。
双極性生涯の患者の場合、依存症は6倍以上現れやすいというデータもあります。
精神活性物質を摂取する上でのリスクを知っておくのは大切なことです。
ではこれらの精神活性物質を双極症の患者が摂ったときにどのような問題があるでしょうか。
まずは自己治療によって経過を悪化させるという問題です。
お酒を例に出すと、以下のような作用があります。
①躁状態のときには、摂取のコントロールが出来なくなる
②うつ状態の辛さをしのぐためにお酒に逃げる
③軽躁状態になりたいという気持ちで、酔っ払って気持ちをハイにする
また、精神活性物質は再発の引き金にもなります。
安定していたフラットの状態から、躁状態やうつ状態に持っていく作用があります。
症状の隠蔽とは、本当は気持ちが沈んでいるのに精神活性物質のせいで元気そうに見えたりして、医師に本当の症状が伝わらなくなってしまうことを指します。
本来よりも気分の変わり方が急に見えて、エピソードが激しいように思われることもあります。
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ネット心理教育では、You Tube LIVEでのライブ配信でも、双極性障害についてのレクチャーを行っています。チャンネル登録をお願いします。
▶次回は2020年8月30日(日)21時~です。
You Tube LIVEに合わせて、グループワークである「ゼミ」も行っています。
▶次回ゼミは、2020年8月31日(月)21時からです。
詳細については、ゼミについてのページをご確認ください。
ライブ配信もゼミも、出欠などを取らないオープンな場なので、是非見てみてください。
【最後に】
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のネット心理教育@Zoomはいかがでしたでしょうか?
・今回の内容の動画はグループページから。
・宿題はこちらから。
・次回のZoomは、2020年9月5日(土)の14時から「エピソードの早期発見」です。
【ご案内】2021年1月22日更新
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