こんばんは。ネット心理教育の布団ちゃんです。
第5回は元々は「抑うつエピソードと混合性エピソード」の両方を話す予定だったのですが、今回は第5回~その1~ということで内容を分け、抑うつエピソードについてお話しました。
まずおさらいとして、双極症には4つの状態があるということを話しました。
・躁/軽躁病エピソード
・抑うつエピソード
・混合性エピソード
・フラット(寛解、部分寛解)
数ヶ月から数年のサイクルで、ゆっくり歳月を掛けて、4つの状態の気分変動が起こります。この気分変動は「躁の後に必ずうつ」など順番は決まっておらず、躁の後に何が来るかは分かりません。
寛解については、薬を飲んでいても飲んでいなくても、症状がない状態を「寛解」といいます。
「躁転」「うつ転」という言葉を頻繁に使うことも多いと思います。用語の説明を改めてします。
「躁が起きた後 →フラットを挟まずに →うつになる」ことを「うつ転」といいます。
「うつから、 →フラットを挟まずに →躁になる」ことを「躁転」といいます。
双極症Ⅱ型と再発性うつ病の見分けの難しさについても話しました。
「再発性うつ病」には、躁状態・軽躁状態がなく、うつの期間しかありません。
双極症Ⅱ型の「軽躁状態」は1年のうち数日とも言われ、ちょうどその数日の軽躁状態のときにたまたま病院に掛からないと、双極症であることを医師も本人も分からずに、ずっと「うつ病」や「再発性うつ病」の診断であることもよくあります。
双極症Ⅱ型の軽躁を経験した方はよくお分かりだと思いますが、軽躁状態には病気である意識が少なく、むしろ本人もちょっと調子がいいなと思うくらいですよね。
その軽躁で、「ちょっと調子が良すぎるから病院に掛かろう!」とはなかなか思わないのではないでしょうか。
双極症Ⅱ型と反復性うつ病の見分けが難しい点については、精神医療の中でも難しいテーマになっています。
双極症Ⅱ型の「軽躁」の期間がとても短い話をしましたが、ここで、双極症の各病相の期間をグラフにしたものを見てみましょう。
このグラフの注目するべき点は「うつの期間が長いこと」です。
双極症Ⅰ型であっても、双極症Ⅱ型であっても、躁や軽躁よりも、うつの期間の方が長いです。
双極症Ⅰ型というと「躁」のイメージが強いですが、実際にはうつの期間の方が長いのです。
双極症では、うつ病よりも自殺率が高いです。
どうしてうつ病と比較して自殺率が高いかは不明ですが、双極症における混合状態での自殺率は、寛解を除く3つの状態では一番危険と言われています。
また、双極症の中でも双極症Ⅱ型の方が双極症Ⅰ型よりも自殺率が高いと言われています。
このことからも分かるように、Ⅱ型にはⅡ型の問題があり、双極症のⅠ型とⅡ型のうちどちらが重症なのかということは一概には言えないです。
Ⅱ型での自殺率の高さと、Ⅰ型の躁の激しさを比較することは出来ないからです。
うつの症状と抑うつエピソードの表を見ていきましょう。
抑うつエピソードの基準には9項目あって、世界的な精神疾患の診断基準である「アメリカ精神医学会」の診断基準(DSM-5)を元にした表です。
気分、意思、思考の3つの項目で分類しています。
1または2を必ず含み、全体で5つ以上の症状が2週間以上続く場合、抑うつエピソード(症状のまとまり)とします。
それぞれの症状の解説は表を見て下さい。
3では食欲減退または食欲増加について書かれています。
ほとんどの人は食欲減退するのですが、一部の人は増えたりすることもあります。双極症で、うつ病と比較し、食欲が増えることも多いと言われています。
4の不眠または過眠では、「寝たいのだが眠れない」のというのが特徴です。
躁・軽躁エピソードでの「眠れない」では、「眠りたくなくて(寝る時間がもったいないと感じ)眠れない」という特徴があります。
5の「精神運動制止」では、何かを言われたときに立ちすくむ感じですが、ぼーっとしているのとは違い、誰かに何かを言われているのは分かっていても反応出来ないことを指します。
最後のスライドでは、うつ病ではなく双極症が疑われる場合の特徴を挙げました。
双極症Ⅱ型と反復性うつ病の見分けが難しい点については、先に述べましたが、うつ病だと思って治療をしていても治療がうまく行かない、むしろ悪化するという経験を経て双極症へと診断が変わった方も多いのではないでしょうか。
ここでは、双極症が疑われるパターンを見ていきます。
1の「25歳以前に発症」では、若い発症の場合、まだ躁を見ていない双極症の可能性があるということを指します。
また、双極症の自殺率の高さについても触れましたがが、それに関連して、双極症では希死念慮が強いことが挙げられます。
妄想が生じることもあります。妄想が生じた場合、双極症Ⅰ型の躁状態と言えます。
精神運動制止、精神運動焦燥が強いというのも特徴です。
周産期にうつ状態を発症した場合、うつ病よりも双極症を疑ったほうが良いでしょう。
「抑うつ状態を3回以上、または年に2回以上」という状態では、どこかで躁転している可能性があります。
また、抗うつ薬が一度は効いたがその後に効果が失われた場合や、抗うつ薬使用中に躁状態が出現した場合、双極症を疑います。
双極症においては抗うつ薬を使わないことが基本です(抗うつ薬の使用については諸説あり、医師によって考えが違うので処方される場合もあります)。
分かりやすい特徴でいうと、双極症または上記症状の家族歴がある場合、双極症を疑ったほうが良いでしょう。
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【最後に】
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のネット心理教育@Zoomはいかがでしたでしょうか?
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・次回のZoomは、2020年6月13日(土)の14時から「混合エピソード」です。
【ご案内】2021年1月22日更新
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