こんばんは。ネット心理教育の布団ちゃんです。
今回は躁と軽躁についてお話しました。
最初に、双極症の4つの状態について話しました。
双極症には、①躁/軽躁エピソード、②抑うつエピソード、③混合性エピソード(躁とうつが混じり合っている状態)、④フラット(=寛解、部分寛解)の4つの状態があります。
※「エピソード」の説明は、下の方で書きますが「症状のあつまり」のことをいいます。
まずは「寛解」という言葉の定義を説明します。
寛解とは、服薬の有無に関わらず、症状がない状態が2ヶ月以上続いている状態です。お薬を飲んでいても、寛解といいます。
寛解というと「完全に治った状態!」と思われがちですが、寛解は意外と身近にあります。
ちなみに、部分寛解(半寛解)は2ヶ月未満症状がない状態のことをいいます。
双極症ではこの4つの状態を、数ヶ月から数年(非常に長いサイクル)のなかで繰り返します。
躁の後には必ずうつ、うつの後には必ず躁が来ると思いがちですが、順番は決まっていません。
①躁/軽躁エピソード → ③混合性エピソード → ④フラット → ①躁/軽躁エピソードなどと、順番はバラバラです。
双極症はこのように、普通の気分を超えた状態が入れ替わり立ち替わり起きる疾患です。
では次に躁/軽躁で起こる症状を紹介します。
精神疾患の国際的な診断基準(DSM-5)では‥
【A】以下のいずれかが認められる
・気分の高揚:気分が上がること
・解放感:解放的な気分になること
・易怒性(いどせい):怒りっぽくなる、イライラする
・目標志向性の異常:一つの目標に暴走する、やりすぎ、がんばりすぎ
【B】以下のうち3つ以上が認められる
・自尊心の肥大:自分は何でも出来る、何でも知っている気分、自分は神である
・不眠:眠らなくても平気
・多弁:喋りまくって止まらない
・観念奔逸(かんねん ほんいつ):頭のなかにポンポンポンと考えが浮かんでしまって収集がつかない
・注意散漫:気持ちがすぐに移り変わること
・目標志向性の活動の増加:一つの目標に暴走、やりすぎ、がんばりすぎ
・困った結果に繋がる活動:性的逸脱、ギャンブル、危険運転、多量飲酒など
【A】のうち1つ以上が当てはまり、なおかつ【B】のうち3つ以上が当てはまる場合、躁/軽躁エピソードです。
エピソードという用語についてです。
AやBの個々の状態(多弁や自尊心の肥大などの一つひとつ)は「症状」といい、それらの症状がまとまった状態のことを「エピソード」といいます。
症状がいくつか組み合わさって、なおかつ一定の日数続いて、「躁エピソード」と診断されます。診断は、エピソードがあるかないかによるということです。
日数に関連して、躁と軽躁の違いを見ていきましょう。
軽躁と躁の違いは以下の4点が関係してきます。
①激しさ
躁=Ⅰ型:社会生活に著しく支障をきたしている/軽躁=Ⅱ型:そこまで至らない
②日数
躁=Ⅰ型:7日以上続く/軽躁=Ⅱ型:4~6日続く
(躁の基準は7日以上だが、数ヶ月から数年と長く続くこともある)
③妄想・幻覚(現実とは違う認識を持つこと)
躁=Ⅰ型:妄想・幻覚を伴うことがある/軽躁=Ⅱ型:伴わない
④入院
躁=Ⅰ型:入院を伴うこともある/軽躁=Ⅱ型:そこまで至らない
※妄想や幻覚というと統合失調症をイメージしますが、うつ病や双極症でも妄想・幻覚が出ることはあります。
こうしてみるとⅠ型の方がⅡ型よりも重いし病気のように思われるかもしれませんが、自殺率はⅠ型よりもⅡ型の方が高く一概にどちらが重いとはいえません。
このスライドを見ていく上で着目してほしいのが、青字で書いてある「行動の異常」です。
(気分の変化は黒字で書いてあります。)
「行動の変化」のほうが、周りから客観的に見て分かりやすいです。
双極症の場合、「病識」が欠如していることも多いです。
病識とは、自分が病気である、いま病気の症状が出ているという認識のことです。
明らかに躁状態なのに「私はいまは躁ではない!病気扱いするのか!」と言い張っている状態を想像してみてください。「あるある」なのではないでしょうか。
そういった本人に病識がない状態でも、周囲からみて分かりやすい躁/軽躁の変化が、行動の変化なのです。
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そちらは出席など取らないオープンな場なので、是非聞いてみてくださいね。
【最後に】
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のネット心理教育@Zoomはいかがでしたでしょうか?
・今回の内容の動画は(工事中)。
・宿題はこちらから。
・次回のZoomは、2020年6月6日(土)の14時から「うつと混合」です。
【ご案内】2021年1月22日更新
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